インプットとアウトプットのバランスが崩れているリラ猫です。
知識欲が高まっている現在、勉強できるところは勉強しつくさないと、人生損ですよね! ただ、アウトプットがまた少なくなってきている事が気になる点……
調べた事は意識してブログに公開していかないといけませんね。 忘れてしまいますし、何より私の心の平穏のために必要です。
本日はひょんなことから受けたアトピーに関する相談です。今回は占いからは離れた話となります。
アトピーの相談を受けた
先ほど、アトピーについて悩まれている方とお話をしました。
しかし「占い」ではそれは解決できないのですよ…… 病気の事ですから。
ただ、アトピーの問題は、実は占いの相談で結構多いカテゴリーになります。 そのため、私自身がアトピーに関する知識を身に付けなければならないな、と感じていました。
なので、良い機会ですし、アトピー性皮膚炎が少しでも良くなるための方法を探るべく、論文の海に飛び込んできました。
あぁ、またインプット!!
アトピー性皮膚炎患者へのスキンケア指導
参考論文
アトピー性皮膚炎患者へのスキンケア指導 -5つの要素の比較分析-
2003年 日本看護研究学会雑誌 Vol.26 No.4
正しいスキンケアを推奨
別に私は俗にいう「自然派」というわけではないのですが、基本的に薬というのは「人間の自然治癒力を高める補助剤」として捉えています。 そのため、「自然治癒力」という物を考えた対処法を行うべきであると考えています。
この論文の著者も以下のように述べています。
治療は皮膚の清潔を保ち,抗アレルギー剤の内服,ステロイド剤等の外用による薬物療法を組み合わせる対症療法が中心である。 これは症状を悪化させず改善の努力を積み重ねることにより,個体が持つ自然治癒力や自然に寛解する可能性を引き出すのが目的とされる。 この対症療法は,概して消極的な一時しのぎと解釈されるが,慢性疾患においては重要な治療法の一つである。
この考え方に私は同感です。
この著者は看護師さんですので、看護師の立場から行えること…… つまり、薬とは別のアプローチからの対処法について論じられています。
その対処方法が「正しいスキンケアの実施」ですね。
世間一般に勧められているスキンケア
あくまでも「健康な肌」の人のスキンケアのお話になってしまうのですが、
- 「赤ちゃんのようなもっちり肌を目指して、優しく丁寧に洗いましょう♪」
- 「赤ちゃんのデリケートな肌に、たっぷりの泡で優しく洗いましょう♪」
という言葉、聞きませんか?
実際に赤子を生んで知ったけど、
赤ちゃんの肌って、タオルでゴシゴシ擦らないと皮脂汚れが落ちないからな!!!
優しく手洗い♪なんてしてたら、乳児湿疹で大変な思いをしたからな!!!
なんでしょうね。「赤ちゃんのようなもっちり肌を~」とか「赤ちゃんのデリケートな肌に~」ってただの宣伝文句なんですかね?
産婦人科で看護師さんが、驚くほどにゴシゴシとタオルで乳児を洗っていました。 けれど「赤ちゃんの肌はデリケートだからゴシゴシ擦るのは良くない!」と思い込んでいた私は、退院後は手で優しく洗っていたわけですよ。 で、乳児湿疹で困ったわけじゃないですか。 そこで試しに、看護師さんのようにタオルでゴッシゴッシ擦って洗顔をしてみたら、3日でツルリンとした綺麗な肌になりました!!!
そんなわけで、アトピーにこそ悩んではいないものの、泡洗顔には疑問を抱いていたリラ猫でした。
正しいスキンケアとは?
この論文の中で、スキンケアに関する実験を行うのですが、正しいスキンケアの指導+2週間(59名)の実験で、以下の結果になっています。
皮膚症状の変化は,「著しく改善」が31%,「改善」が52%で、合わせた「改善群」は83%であった。
つまり、アトピーに悩んでいた83%の方は、誤ったスキンケアのために今までアトピーに悩まされていたということですね。
この実験で行われた正しいスキンケアの指導内容について紹介します。
1日1回以上のスキンケアを行う
このスキンケアというのは、お風呂で行われる事を想定しているようです。 そのため、湯舟に浸かるよう促していますが、シャワー浴でも構わないようですね。 どちらにしても、スキンケア…… つまり皮膚の洗浄は毎日行いましょうとのことです。
石鹸を使用する
普通の浴用石鹸を使用して洗浄するようです。
「配合剤が含まれていないか少ない普通の浴用石鹸を使用する」と書かれていますが、この「配合剤」と言うのは何を指すんでしょうね……? 余計な成分、と捉えていいのでしょうか。ちょっとここは分からないですね。 「しっかりしたメーカーの安価な普通の浴用石鹸」と書いてあるので、シンプルな物で良いのでしょうね。きっと。
また、結構大切なところだと思うのですが、
身体を洗う前に湯船に5〜10分浸かって皮膚をふやかすらしいです。
のちに洗浄の行い方で「皮膚の汚れやかさぶたは残さず」と書かれていますから、少なくともかさぶたがふやけて比較的簡単に取れるぐらいにはふやかす必要があるのでしょうね。
木綿のタオルを使用
痂皮や落屑は手では落ちないらしいです。 これ、とても意外でした。 皮脂汚れは確かに手では落ちなかったですが、痂皮や落屑ならば落ちるイメージがありました。
しっかり洗うためにはタオルは必須です!
ただ、タオルの石鹸の付け方にコツがあるようですね。
タオルの表面がなめらかに、そしてタオル全体がペーストのようにやわらかくやわらかくなるまで,石鹸とお湯をたっぷりたっぷりしみこませます。
……と書かれていますが、残念ながらイメージが湧かないですね……
後で私も試してみようと思うのですが、石鹸もお湯もたっぷり使って、きめ細かい泡をタオルに纏わせるのでしょうね。
おそらくこれは皮膚を傷つけないための工夫なのだと思います。 だからこそ「なめらかに」「やわらかく」と書かれているのでしょうね。
洗浄時の力はしっかりと!
泡で優しく〜、なんて言わずに、洗浄時にはある程度の力は必要なようです。
ただし、痛みを感じない程度の強さにしてくださいね。 痛みを感じる = 強すぎ、と判断してください。
皮膚の汚れやかさぶたが残らないようにしっかりと洗います。 更に、炎症を起こしている部分については表面の汚れをしっかりと落としてください。
……思った以上に、ゴシゴシいってます……! 炎症を起こしている場所の表面も容赦なく洗うわけですからね。 湯船に浸かって皮膚をやわらかくしていなければ、出来ない事ですね。
洗浄は全身で30分
湯船で5分,頭髪に5分,顔面に5分,全身に10分で合計25〜30分必要
長湯が好きな私ですが、体を洗うのに25~30分もかけないですね。 つまりは、洗浄不足、ということなんですね……
また、すすぎがすごく大切なようですね。 「石鹸分が残ると皮膚炎に悪影響があります。」と書かれていますので、すすぎは軽く行うのではなく、念には念をの気持ちで行った方がよいようですね。
更に,つるつるになってから、指では感じとれない石鹸分のためにもう10回追加、10回追加してください。
肌がつるつるになっても、まだまだ、まだまだとお湯をかけていく必要があるようですね。
タオルドライは拭かずに押さえる
肌を擦るのは良くない、という話はよく聞きますよね。 恐らくそれは「肌を傷つけるから」なんだと思います。
洗浄時に石鹸を含んだタオルでゴシゴシ洗浄していましたが、それは石鹸が潤滑油替わりになるから、OKなのでしょうね。 それに対してタオルドライ時は潤滑油替わりになるものがないので、押さえてタオルドライをする事を勧めているのだと思います。
何事も基本から行っていこう
アトピー性皮膚炎自体、何故発生してしまうのかが分かっていないらしいですが、 少なくともこのスキンケア(洗浄)については、肌トラブルを防ぐためにも健康な肌の人にとっても必要なことのように思いました。
ニキビとか吹き出物とか、出ますからね……
「タオルが石鹸でペースト様になる」が全くイメージ付きませんが、そこまでしっかりと泡立てて、しっかりと洗浄をしていきたいものです。
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018
参考資料
2018年128巻12号p.2431-2502
3章から治療に関する項目が書かれています
アトピー性皮膚炎の治療方法は,その病態に基づいて,①薬物療法,②皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア,③悪化因子の検索と対策,の3点が基本になる.
と書かれていますので、医者ではない私が何かを言えるとしたら、②と③の部分になりますね。
スキンケアについて
保湿外用剤
アトピー性皮膚炎では,皮膚バリア機能と保湿因子が低下している.角質層内の水分含有量は低下し,特徴的なドライスキンとなる.そのため非特異的刺激による皮膚のかゆみを生じやすく,また,種々のアレルゲンの侵入が容易になり,皮膚炎を惹起しやすいと考えられている.
つまり「ドライスキン」を防げば痒みなどの苦しい症状が抑えられる可能性が高まるということですね。
だからこそ「保湿外用剤(保湿剤・保護剤)」を使用することで、この「ドライスキン」を防ごうとしているのですね。
乾燥肌で悩んでいた時に「保湿をした上で油を塗るといい」と聞いたことがありました。 尿素系のクリームを塗った後にワセリンを塗る…… ということを知人から勧められましたね。 私のケースでは、尿素系のクリームが「保湿剤」、ワセリンが「保護剤」の役割をしていたのだと、今気が付きました。
一般的に,アトピー性皮膚炎患者の皮膚は,病変部位だけでなく,正常に見える部分も経皮的水分喪失(transepidermal water loss:TEWL)が多く,ドライスキン状態にある.
とも書かれていますので、(もちろんお医者様に確認はして欲しいのですが)アトピー性皮膚炎が発症している所だけでなく、保湿外用剤は全体的に薬を塗られた方がよいのですね。
よく聞くステロイド剤は、スキンケアではなく「薬物療法」の部類に入りますので、保湿外用剤と同じ扱いはしないでくださいね。
入浴などの洗浄について
最初の論文でも洗浄の必要性について論じていましたが、ガイドラインにも洗浄の必要性について書かれていますね。
洗浄時のお湯の温度は、36~40℃が皮膚バリア機能の回復に良い温度らしいので、少しぬるいぐらいのお湯で洗浄すると良いようです。
また、入浴後は肌が乾燥しやすいため、早めに保湿外用剤などを使用して乾燥を防ぐことが望ましいようですね。
石鹸の種類によって症状が良くなるなどのエビデンスはないようです。 なので、上記の論文にもあった「しっかりとした安価な普通の浴用石鹸」を使用すると良いのではないかと思います。 アトピー用石鹸ってあるのかな? 効果に有意差はない……んじゃないかな。皮膚科医が集まっても「優位性に関するエビデンスはなく」と言っているんだから、一企業の宣伝文句に踊らされない方が良いのではないか、というのが個人的な意見です。
またこちらでも、
皮膚を傷つけることがないよう,よく泡立てて機械的刺激の少ない方法で皮膚の汚れを落とし,洗浄剤が皮膚に残存しないように十分にすすぐことも大切である.
と書かれていますので、「皮膚が傷つかないように」と「十分にすすぐこと」を意識して洗浄すると良いのかと思います。
悪化因子について
悪化因子は主に
- 外的刺激
- アレルギー反応
- 発汗
- 細菌・真菌
の4つがあるようです。 「発汗」と「細菌・真菌」を一緒にしようか悩みましたが、分けてみました。
アレルギー反応、細菌・真菌について
お医者様の指示に従って対処するしかないので、ここでは触れません。
外的刺激について
外的刺激はつまり、接触するものに気を付けよう、ということですね。 洋服の刺激、髪の毛の接触による刺激、洗浄剤のすすぎ残しが主に挙げられています。 特に掻きむしりによる皮膚への刺激はアトピー性皮膚炎を悪化させる要因にしかならないようですので、保湿外用剤を併用しながら特に対処したいところですね。
発汗について
発汗するとアトピー性皮膚炎を悪化させるから、汗をかかないように!
と指導するお医者様もいるらしいですが、この指導は半分正解半分ハズレのようです。
発汗そのものは良いようです。 汗には天然の保湿因子が含まれているようですので、運動によって汗をかくことは肌の保湿に繋がるようですね。
ただこの、発汗によるメリットは時間が経過すると無くなっていくようです。 そうすると今度は汗が肌を刺激することになり、アトピー性皮膚炎を悪化させる原因となってしまうようです。 恐らくこれが「発汗はよくない!」と言われる要因なのでしょう。 つまり、汗そのものはしっかりとかいて、汗を長く肌の上に留まらせない工夫が大事なわけですね。
皮膚表面の余剰な汗を残さないために,通気性がよく吸湿性の低い肌着を着用するなど高温高湿環境を回避し,かいた後の汗は放置せず,シャワー浴,流水洗浄,おしぼりによる清拭,濡れた衣類を着替えるなどの対策を行う.
と書かれていますので、運動に制限をかけることなく、発汗後の対策に力を入れて運動を楽しみたいところですね。
アトピーに関する知見を広められてよかった
以上、リラ猫による論文潜りの旅の報告書でした。
占いの相談者でもアトピーに関する相談は多いので、今回の調査はとても有意義な物になりましたね。
占いに来る人って、自然派療法にはまってしまっている人が多いんですよね…… しかも結構高額なお金を出している人が多くて……
自然治癒力を高める事が大切!! と謳っているのは、自然派療法もお医者様も変わらないわけですよ。 薬はあくまでも体に対しての補助であって、病気を治すのはあくまでも自分自身だと思います。
手術ぐらいじゃないですか? 物理的に病気を取り除けるのって。
占いの相談者でアトピーに関して悩まれている方が来たら、オススメの病院を占いつつ、論文として公に示された科学的に正しい知識を提供していけたらなぁ、と思います。
また気になる話題を見つけたら、論文潜りの旅に出ようと思います。 調べて欲しい事がありましたら、お気軽にコメントに投稿いただければ、気が向けば調べるかもしれませんw