旦那愛の溢れるリラ猫です。
本日のLIVE放送は「SSRIとセロトニン」のお話でした。 本記事はそのまとめです。
注意事項
本記事・該当LIVE放送は、医療関係者ではないリラ猫が、旦那の身を心配して論文を調べ、まとめたものです。
医療関係者ではないため、論文を読むにあたり、リラ猫には基礎知識がありません。
そのため、論文の内容を理解するためにリラ猫が勝手に脳内補完して解釈している部分があります。
脳内補完箇所の始めには(補)、終わりには(補終)を付けて明確にしますが、その他の場所も古い情報をそのまま掲載している、または勘違いして纏めている可能性があります。
大きく外れたことは言っていないはずですが、もしも本記事の内容をご利用される方は、一番下に記載した参考資料をご覧いただくか、信頼できるお医者様に確認を取ってからご利用ください。
私が調べ纏めたものを公開する理由は、「SSRIの服用により、うつが改善する可能性がある事」「バランスの良い食事・規則正しい生活・日光・運動が大切である事」をお伝えするためです。
得た情報が信頼できるかをご自身の目で確認いただいてから、正しく情報を活用されてください。
SSRIとは?
名前について
SSRIとは、Selective Serotonin Reuptake Inhibitorsの略。
Selective = 選択的
Serotonin = セロトニン
Reuptake = 再取り込み
Inhibitors = 阻害剤
つまり、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、の事です。
SSRIの働き
健康な人のストレスに対する反応
脳の登場人物
脳の中に「縫線核(ほうせんかく)」という、「セロトニン神経(セロトニンを生成・放出する場所)」があります。
そして、セロトニンを受け取る場所は、脳の中のいたるところにあるのですが、今回は「前頭前野」を例に解説していきます。 (ストレスがかかると委縮すると言われている場所が、前頭前野です)
前頭前野には、縫線核に存在するセロトニン神経から分泌された「セロトニン」を受け取るための場所があります。 受け取る場所には「受容体1」という物が存在しています。
ストレスを受けた時のセロトニン神経の働き
ストレスを感じると、まず縫線核にあるセロトニン神経が、前頭前野に向けてセロトニンを放出します。
セロトニンは前頭前野についている受容体1から取り込まれ、前頭前野にセロトニンが溜まっていきます。
前頭前野では、届いたセロトニンを使って、ストレスを撃退します。
全て撃退が終わったタイミングで、前頭前野は縫線核に向かって「もうセロトニンはいらないよ」と合図を出します。
前頭前野からの合図を受けた縫線核のセロトニン神経は、オキシトシンの放出を止めます。
うつ病の人のストレスに対する反応
健康な人との脳の違い
うつ病患者は、(補)前頭前野がストレスにより委縮してしまっているため、セロトニンを受け取るための「受容体1」が小さくなり、かつ数が減り、受け取れる量が減ります。(補終)
また、「受容体2」が前頭前野にたくさん作られています。 この「受容体2」がセロトニンを受け取ると不安感が増幅します。(健康な人にも存在するが、うつ病患者に比べて数が少ない)
その上、セロトニン神経に(補)眠っていた(補終)「受容体1」が表れます。 この「受容体1」がセロトニンを受け取ると、セロトニン神経からセロトニンを放出する事を止める働きをします。 (補)セロトニン神経の受容体1も、前頭前野の受容体1も、どちらも「受容体1」だが、恐らく「セロトニンを受け取ったら、セロトニンの放出を止める働きがある」という点で、同じ働きをするから同じ名前なのだろう。(補終)
更に更に、セロトニンの放出量が、健康な人に比べてとても少ないです。
ストレスを受けた時にうつになり、悪化する理由
ストレスを感じると、セロトニンの放出が始まりますが、そもそもセロトニンの量が少ないです。
更に、(補)前頭前野の受容体1は働きが弱くなっているため、上手くセロトニンを受け取る事が出来ません。(補終)
しかも、前頭前野には「受容体2」がいるため、そちらがどんどんセロトニンを受け取っていきます。 その結果、不安感が増幅される事になります。
更に悪いことに、セロトニン神経にも「受容体1」が存在します。 そちらがセロトニンを受け取ると、前頭前野は満足にセロトニンを受け取っていないのにも関わらず、セロトニンの放出をやめます。
その結果、前頭前野はストレスを撃退することが出来ません。
不安感は増幅されるわ、ストレスは撃退できないわ…… という状態が「うつ病」です。
SSRIを投与した場合のストレスに対する反応
SSRIを服用すると起きる事
SSRIを服用すると、セロトニンを受け取る場所である「受容体1」「受容体2」の入り口が蓋をされます。
受容体がセロトニンを受け取らないため、縫線核と前頭葉の間にセロトニンが溜まります。
この状態を作り出す事が、SSRIの目的です。
SSRIの服用初期
「初期」とここで定義した期間が、2週間~1ヶ月かかります。 うつ病の薬が「とりあえず飲み続けないと体に合うか分かりません」と言われる理由はこれです。
SSRIを服用しているので、受容体たちが蓋をされています。
その状態でストレスがかかると、セロトニン神経からセロトニンが放出されます。
しかし受け取る場所がない上に、セロトニンの放出を止める働きをする「受容体1」はセロトニンを受け取れません。
その結果、セロトニン神経はセロトニンを放出し続け、時間をかけて縫線核と前頭前野の間にセロトニンが溜まっていきます。
(補)SSRIの効果が切れて、受容体の蓋が取れると、受容体はセロトニンを受け取ります。 前頭前野側の受容体1はあまり受け取れませんが、受容体2とセロトニン神経側の受容体1はあるだけセロトニンを受け取ります。(補終)
このように、セロトニンを溜めて→受け取る、を繰り返す事により、受容体たちに変化が起き始めます。
まず、セロトニン神経側の受容体1の働きがだんだんと鈍くなり…… 最終的にセロトニンの放出を止める働きをしなくなります。 セロトニンを受け取っても「あー、またお前かー」とスルーして仕事をしなくなります。 この現象が「脱感作」です。
その結果、セロトニン神経の働きを止める人がいないので、ずっとセロトニンを放出し続けます。
ここで1つ危ない現象が発生します。(SSRIの一番の問題点として、改良の研究がされています)
セロトニンの放出は続くものの、受容体2が存在しています。 前頭前野側の受容体1がセロトニンを受け取れないため、放出されたセロトニンは受容体2が総取りです。
受容体2は、不安感を増幅させる働きがあります。
つまりうつ症状の悪化、酷いと自殺企図が発生します。(SSRIの薬の説明書には必ずこの注意書きが書かれているはず)
ただ、受容体2もセロトニン神経側の受容体1のように、脱感作をします。
その結果、ストレスを受けても今度は不安感を感じなくなります。
ここまで来てようやく「SSRIが効いてきた」と言えます。 ここに来るまでに2週間~1ヶ月かかります。
SSRIの長期服用
セロトニン神経側の受容体1も、前頭前野側の受容体2も脱感作してしまうと、残りの受容体は、働きが弱くなっている「前頭前野側の受容体1」のみとなります。
受容体1はそんなにたくさん量を受け取れないのにも関わらず、セロトニンは押し寄せてきます。 「さっさといれろ!」「門をあけろ!!」と言わんばかりに押し寄せてきます。
その結果、前頭前野は頑張って受容体1の(補)口の大きさと数を増やして(補終)セロトニンの受け取る量を増やします。
(補)その結果、前頭前野は十分にセロトニンを受け取ることができて、ストレスを立派に撃退が出来るようになります。 そして、縫線核に向かって「もう十分だよ!」という合図を出せるようになります。(補終)
SSRIによる脳の変化
鈍っていた前頭前野側の受容体1の機能が回復することも、脳の変化の1つですが、 この受容体1からセロトニンを受け取る事により脳の細胞が増加します。
(補)そのため、ストレスによって委縮してしまった前頭前野が、SSRIの働きによって脳が元に戻る可能性があるということです。(補終)
セロトニンの働き
実は不安を増幅させる働きがある
セロトニンと言えば「幸せホルモン」というイメージが強いですが、実は受容体2のように「不安を増幅させる」作用もあります。
ただ、セロトニンによってストレスを撃退する効果もあるので「幸せホルモン」と言われているのでしょうね。
うつ病患者はセロトニンが少ない
ある実験結果で、健常者とうつ病患者のセロトニン量を調べた所、うつ病患者は健常者の5~10分の1しか分泌されていないようです。
つまり、「うつ病患者 = セロトニン不足」と考えて問題はなさそうです。
セロトニンが足りないのならば、セロトニンの材料である「トリプトファン」が足りないのでは?と思うかもしれませんが、ちょっと違うようです。
トリプトファンからセロトニンをどれだけ作ることが出来たかの割合を調べた所、うつ病患者は健常者の3~7分の1しか生産能力がないようです。
しかもしかも、セロトニンが使われた後に出るゴミの量とトリプトファンの割合を調べた所、こちらはうつ病患者も健常者もあまり差がなかったとのこと。
つまり、うつ病患者はセロトニンの生産能力が低いのに、セロトニンの廃棄は普通に行っているということです。
残念ながら、どうしてセロトニンの生産が少なくなってしまうのかまでは、今回の調査では分かりませんでした。
腸内環境を整えればセロトニンが増える?
「腸でもセロトニンは作られている」と聞いたことある人はいませんか?
私も聞きました。それを信じて「うつ状態を和らげるために腸内環境を整えよう」と思っていました。
確かに腸でセロトニンは作られていますが、うつ状態は和らぎません。
何故なら、脳の手前に「血液脳関門」という防壁があり、そこを通過できるのは小さな分子のみだけなのです。
そのため、どんなに腸でセロトニンを増やしたとしても、それが脳に届けられることはないため、うつ状態を回復することには繋がりません。
ただ、トリプトファンは血液脳関門を通り抜ける事が出来るため、強いて言うならば、トリプトファンをしっかり摂取してあげる事が良いと思われます。
トリプトファンの摂取について
トリプトファンから作れるセロトニンの量が少ないのであれば、トリプトファンを普通の人より何倍も多く取ればいいのでは?
と考えたそこのあなたに「待った」をかけます。
「疲労」って何?
人は疲れると休息を取ります。
その理論で行くと、セロトニンは疲労物質なのではないか?という説があります。
以前の「睡眠のメカニズム」の放送でもお話をしましたが、
と変化をし、この「メラトニン」が睡眠を誘発します。 メラトニンが睡眠を誘発するならば、セロトニンも睡眠を誘発する…… 疲労物質といえるわけです。
トリプトファンから生成されるもの
トリプトファンから生成されるのは「セロトニン」だけではなく「キヌレニン」という物質があります。
このセロトニンとキヌレニンの作られる割合が問題で、トリプファンから5%程度しかセロトニンは作られません。 残りはキヌレニンになります。
このキヌレニンも、セロトニンとメカニズムは違うものの、睡眠を誘発する疲労物質になります。(どのような作用があるかまでは、今回は調べませんでした)
私たちが必要としているのは「セロトニン」ですが、それを得るためにトリプファンを摂取しまくると、キヌレニンをたっくさん生成する事になるため、体が疲れやすくなってしまいます。
そのため、トリプトファンを多く取る事は、私はオススメは出来ません。
注意が必要らしい「キヌレン酸」
キヌレニンはキヌレン酸に変化します。
このキヌレン酸は体にとって大切なものではありますが、多すぎると腫瘍などの病を促してしまう可能性があるようです。
そのため、キヌレン酸の量を調整する療法について、研究がされているようです。
セロトニンを得るために別の病気になっては元も子もないと思います。
結論
SSRIはうつ状態を改善する効果がありますし、何より脳が回復する可能性があります。 そのため、SSRIを飲まれている方は、希望を持たれて大丈夫だと思います。
SSRIを飲むのと同時に、分泌量が減っているセロトニンを増やさなければなりませんが、 結局のところバランスの良い食事を取りましょうという結論に落ち着きます。 タンパク質を取りすぎて病気になっては元も子もありませんから。
そして、食事からのセロトニン増加は望めないため、セロトニン神経を刺激する行動「規則正しい生活をすること」と「日光にあたること」と「リズム性運動をすること」を行う必要があります。
基本的な事ですが、そんな基本的なことを徹底して実行し、うつを治していきたいですね。
参考資料
- KEGG MEDICUS 医療用医薬品 : サインバルタ
- Cymbalta セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 サインバルタカプセル20mgサインバルタカプセル30mgデュロキセチン塩酸塩カプセル
- Wikipedia セロトニン
- 脳科学辞典 セロトニン
- 抗うつ薬はどの様にうつ病に効果をもたらすか?― SSRI と NaSSA の比較 ― 蜂須 貢 昭和大学薬学部臨床精神薬学講座
- コトバンク 脱感作
- トリプトファン研究の成果から見た中枢性/精神性疲労の誘発メカニズム 帝塚山大学心理学部紀要 山 下 雅 俊 一山 本 隆 宣※PDFがダウンロードされます
- タンパク質と脳の栄養~うつ病とタンパク摂取~ 畜産の情報